SSブログ

ヤブマメ(薮豆) [つる性]

 ヤブマメは北海道から九州、朝鮮から中国に見られるツル性の一年生草本。林縁や草原などに生育。
9~10月にかけて花を咲かせ、実をつけますが、地中にも閉鎖花を付けます。茎の一部から地中に枝が伸び、土の中で果実を稔らせます。この果実の中には種子は1つしかなく、地上部に形成される種子よりも大きい。地上部の種子は有性生殖であるので多様な性質を持っており、新たな場所へと散布されます。
地下に形成した種子は、単為生殖であるので自らと同じ遺伝子を持っており、まずは来年への存続を確保するという戦略。このような戦略は、来年もヤブマメが生育可能な立地条件であることによります。
この植物は、地上に普通の花(開放花)と閉鎖花を、さらに地中に閉鎖花という3種類の花を咲かせます。生き残るためのすごい戦略ですね。

地中につく閉鎖花は、大きな豆で、種子散布は行われません。この種子は親とほぼ同じ遺伝子を持ち、同じ場所での繁栄はまず間違いないのです。
しかも豆も大きくて栄養分がたっぷりですので、強い競争力をもっているといえます。
他方、地上の豆果は、熟すと弾けて、3~4mは種子をはじき出します。つまり分布域を広げるという役割を持っています。実際こちらの種子は硬く、乾燥にも強いので、新天地を求めるのに適しています。
さらに、このとき親と同じ遺伝子を持つものと、そうではないものの両方があって、様々な状況に対応できるという戦略なのです。

ヤブマメ-1(20201116).jpg ヤブマメ-2(20201116).jpg ヤブマメ-3(20201116).jpg ヤブマメ-4(20201116).jpg ヤブマメ-5(20201116).jpg
撮影:2020年11月16日 京都府立植物園にて

ヤブマメ-11(20201117).jpg ヤブマメ-12(20201117).jpg ヤブマメ-13(20201117).jpg ヤブマメ-14(20201117).jpg
撮影:2020年11月17日 京都府立植物園にて

名称:ヤブマメ(薮豆)
科:マメ科 ヤブマメ属
園芸分類:野に咲く花
形態:一年生草本
原産地(分布):本州(関東地方以西)、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア、インド、ネパール、ベトナム
品種名:
草丈/樹高:つる性
開花期:9~10月
花色:白色で、旗弁が淡紫色
その他:


nice!(1)  コメント(0)