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フユノハナワラビ(冬の花蕨) [シダ類]

フユノハナワラビは、“ワラビ”と名前に付いていても、ワラビ(コバノイシカグマ科)の仲間ではなく、ハナヤスリ科ハナワラビ属の多年生草本となる。
東アジアの温帯下部から暖帯に広く分布し、日本では北海道の一部から本州、四国、九州の日当たりの良い山地林縁、原野や路傍の草地などに生育する。
フユノハナワラビは光合成を行うための栄養葉という葉と、胞子を付けて散布するための胞子葉という2種類の葉をそれぞれ1枚ずつ付けるが、栄養葉は秋から翌春まで地面すれすれの位置に展葉し、胞子葉は晩秋から冬にかけて出現して高さ15~30cm程度になり、2~3回分岐した枝に2列に球状の胞子嚢(ほうしのう:胞子が詰まった袋。胞子が成熟するとはじけて胞子を散布する)を密生する。胞子葉の姿があたかも花が穂状に咲いたように見え、出現するのが冬頃であるので、「冬の花蕨」と呼ばれる。
冬に出現することから、「寒蕨(かんわらび)」の別名もある。

似たものにオオハナワラビやアカハナワラビがある。
3つの違いは栄養葉の様子により、
葉の先(鋸葉)が尖っている オオハナワラビ、アカハナワラビ
    茎に毛がなければアカハナワラビ、オオハナワラビは茎、葉柄、葉軸に毛がある。
葉の先(鋸葉)が鈍頭なのがフユノハナワラビ

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撮影:2022年8月26日 京都府立植物園にて

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撮影:2022年10月18日 京都府立植物園にて

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撮影:2022年10月3日 京都府立植物園にて

名称:フユノハナワラビ(冬の花蕨)
科:ハナヤスリ科 ハナワラビ属
園芸分類:
形態:多年生草本・冬緑性シダ植物
原産地(分布):東アジアの温帯下部から暖帯に広く分布
品種名:
草丈/樹高:15~30cm
開花期:
花色:
その他:別名 「寒蕨(かんわらび)」


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アカハナワラビ(赤花蕨) [シダ類]

アカハナワラビは、草丈20~50cmの冬緑性シダ。
葉は1個つき、担葉体は短い。
栄養葉は3出葉的に3回羽状に分岐、長さ、幅とも約10cm。葉柄は3~13cmと長く、羽片は下部で広卵形で短い柄があり、裂片は長楕円形~披針形で鋭鋸歯縁。冬には著しく葉が紅くなる。
胞子葉は栄養葉よりはるかに長く、1~2回羽状に分岐し、短い枝に直接胞子嚢をつけるので円錐花序のように見える。
11月下旬以降に葉の両面が赤くなり、春に緑色に戻る。胞子葉は9月~12月に出て、高いものは50㎝ほどにもなる。オオハナワラビと似るが胞子嚢穂は胞子散布後に枯れる。

◎フユノハナワラビは栄養葉が鮮緑色~濃緑色、3~4回羽状に深裂する。冬に葉が赤くなることも多いが、裏面が緑色である。
◎アカフユノハナワラビはフユノハナワラビに似ているが、葉の裏面まで赤くなる。
 オオハナワラビは大型で、葉の縁には鋭鋸歯がある。胞子葉の柄が春まで残る。胞子の表面にこぶ状の突起がある。

アカハナワラビ-1(20221104).jpg アカハナワラビ-2(20221104).jpg アカハナワラビ-3(20221104).jpg アカハナワラビ-4(20221104).jpg アカハナワラビ-5(20221104).jpg
撮影:2022年10月4日 京都府立植物園にて

名称:アカハナワラビ(赤花蕨)
科:ハナヤスリ科 ハナワラビ属
園芸分類:
形態:冬緑性シダ
原産地(分布):在来種 本州(青森県以南~広島県)、 四国、九州、朝鮮、中国
品種名:
草丈/樹高:20~50㎝
開花期:胞子葉は、9~12月
花色:
その他:


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シダ類各種 [シダ類]

【シダ類各種】


■イワデンダ科:
 ◇コウヤワラビ(高野蕨)
 ◇クサソテツ(草蘇鉄)
 ◇ニシキシダ(錦羊歯)
 ◇ノコギリシダ(鋸羊歯)
 ◇ヘラシダ(箆羊歯)
 ◇ヤマイヌワラビ(山犬蕨)

■ウラボシ科:
 ◇クリハラン
 ◇ノキシノブ(軒忍)
 ◇ヒトツバ(烏帽子丸)
 ◇ヒトツバ(羽衣)
 ◇ヒトツバ(獅子)
 ◇ヒトツバ(矢羽根)
 ◇モミジヒトツバ

■オシダ科:
 ◇イノデ(猪手)
 ◇イワヘゴ
 ◇コバノカナワラビ(小葉金蕨)
 ◇ナガサキシダ(長崎羊歯) 
 ◇ヤブソテツ(薮蘇鉄)
 ◇リョウメンシダ(両面羊歯) 

■シシガシラ科:
 ◇コモチシダ(子持ち羊歯))

■シノブ科:
 ◇トキワシノブ

■タマシダ科
 ◇タマシダ(玉羊歯)

■ナナバケシダ科科
 ◇ナナバケシダ(七化け羊歯)

■ハナヤスリ科:
 ◇オオハナワラビ(大花蕨) 
 ◇モトマチハナワラビ 


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ナナバケシダ(七化け羊歯) [シダ類]

山地、低地の谷沿い等湿った所に生育する常緑の多年生シダ。根茎は太く短く、塊状となり、葉を叢生し、麟片をつけます。 麟片は披針形、褐色でやや硬く、淡色で崩れやすい片縁部があります。
葉は胞子嚢葉と栄養葉の二形あり、葉柄は長さ20~50cmでほとんど基部付近まで広い翼があります。 胞子葉は裂片の幅がやや狭い。胞子嚢群は主脈近くにつき、主側脈間に2列あり、包膜は楕円形。
和名のナナバケ(七化け)の由来は、葉の形が多数あることからつけられています。

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撮影:2020年10月24日 京都府立植物園にて

名称:ナナバケシダ(七化け羊歯)
科:ナナバケシダ科 ナナバケシダ属
園芸分類:シダ植物
形態:常緑
原産地(分布):日本(鹿児島(沖永良部島)~沖縄)、台湾、中国南部、インドなど
品種名:
草丈/樹高:
開花期:
花色:
その他:


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ヤマイヌワラビ(山犬蕨) [シダ類]

北海道~九州の山地のやや湿った所に生えます。葉柄はやや紫色を帯び、基部鱗片は褐色~茶色の披針形で全縁。葉身は2回羽状複葉。最下部羽片の下側第1小羽片が著しく小さくなります。羽片は無柄か短い柄がつき、小羽片はやや鋭頭で前側の耳垂は小さい。裂片は長楕円形、円頭で、不規則な鋸歯があります。ソーラスは中肋寄りにつき、包膜は三日月形、馬蹄形、鉤形が混ざります。

生育環境:丘陵~山地、里山の湿った林縁や林床など。

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撮影:2020年10月25日 京都府立植物園にて

名称:ヤマイヌワラビ(山犬蕨)
科:イワデンダ科 メシダ属  
園芸分類:シダ植物
形態:常緑性
原産地(分布):北海道、本州、四国、九州、屋久島 ・ 朝鮮半島、台湾、中国
品種名:
草丈/樹高:
開花期:
花色:
その他:


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タマシダ(玉羊歯) [シダ類]

 タマシダは伊豆半島以西の本州、四国、九州に分布する常緑性のシダ植物。
茎はごく短く、ほぼ直立して、多数の葉をつけます。茎からは針金のような根とともに、細い匍匐茎を出し、新しい芽をつけ、大きな群落になります。また、匍匐茎には球状の固まりをところどころに着け、これは水を蓄えるためのものと考えられ、玉羊歯の名もこれによるものとのことです。
葉は細長く、普通は30~40cm、長いものは80cmにも達します。地上のものでは葉はやや立ち上がり、樹上についたものでは、葉は垂れ下がる。葉は一回羽状複葉で、主軸の左右に細長い楕円形の小葉を数十対、時には百対もつけます。胞子のう群は小葉の裏側、主脈と葉縁との間に並びます。
主に海岸近くの日当たりのよい場所に生育。 海岸付近の乾いた斜面や、岩の上、場合によっては樹上に着生します。

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撮影:2020年10月24日 京都府立植物園にて

名称:タマシダ(玉羊歯)
科:タマシダ科(ツルシダ科) タマシダ属
園芸分類:シダ植物
形態:常緑性
原産地(分布):本州の伊豆半島から九州、小笠原諸島、南西諸島、中国や台湾、東南アジア、ポリネシア、アフリカ等
品種名:
草丈/樹高:
開花期:
花色:
その他:



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モミジヒトツバ(紅葉一ツ葉) [シダ類]

「ヒトツバ」は単葉性のシダですが、これはモミジの名のように基本5裂に大きく分岐した葉が特徴的です。
大きな切れ込みの入った葉は、厚く、毛もあります。葉裏を見ると、すごい数の胞子嚢(ほうしのう=胞子が入っている袋)がびっしり並んでいます。
同じヒトツバ属の「イワオモダカ」に近い種類です。
生育場所な、海岸の岩上や樹上に着生

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撮影:2020年10月24日 京都府立植物園にて

名称:モミジヒトツバ(紅葉一ツ葉)
科:ウラボシ科 ヒトツバ属
園芸分類:シダ類
形態:常緑多年草 草本
原産地(分布):日本,朝鮮,支那,台湾,インドシナ
品種名:
草丈/樹高:
開花期:
花色:
その他:


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モトマチハナワラビ [シダ類]

オオハナワラビに似ていますが、常緑性の多年草。樹陰や林縁に見られ、葉面には光沢があり、小羽片は細かく中~深裂し、幅の狭い裂片の縁には尖った鋸歯が並びます。
胞子葉は栄養葉より長く、2回羽状に分枝し、延髄花序的、軸は無毛。胞子の表面には微細な突起が大きな網目を月ります。胞子葉は胞子散布後も残ります。
向陽地に生育しているものは、冬には黄褐色を帯び、オオハナワラビが赤紫色を帯びるのと異なります。
最近、伊豆大島の元町で発見されたもののです。

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撮影:2021年10月30日 京都府立植物園にて

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撮影:2020年1月20日 京都府立植物園にて

名称:モトマチハナワラビ
科:ハナヤスリ科 ハナワラビ属
園芸分類:常緑性シダ
形態:
原産地(分布):本州、四国、伊豆大島 ・ 国外分布は不明
品種名:
草丈/樹高:5~40cm
開花期:
花色:
その他:


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ヒカゲノカズラ(日陰の葛) [シダ類]

 ヒカゲノカズラはツル性のシダ植物であり、北海道から九州に分布し、北半球に広く分布しています。和名は日陰の葛ですが、日当たりの悪い場所には生育しません。ある程度の水分は必要ですが、尾根筋や谷筋の鉱物質土壌が露出しているような場所に生育します。
 ヒカゲノカズラは、長く地表を走る茎の所々から根と立ち上がる茎を出します。立ち上がる茎は枝分かれし、密に葉を付けています。6月頃、立ち上がる茎から15cmほどの長い柄のある胞子嚢穂(ほうしのうすい)を出します。葉は線形で先端は膜質の糸状となります。

胞子嚢穂(ほうしのうすい):胞子葉が枝先に多数集まり穂状になったものをいい、シダ植物のなかでも原始的な性質をもつ仲間(ヒカゲノカズラ科、トクサ科、ハナヤスリ目)にみられます。

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撮影:2019年11月21日 京都府立植物園にて

名称:ヒカゲノカズラ(日陰の葛)
科:ヒカゲノカズラ科 ヒカゲノカズラ属
園芸分類:
形態:常緑性シダ植物
原産地(分布):日本では沖縄以外、国外では世界の北半球の温帯から熱帯域の高山
品種名:
草丈/樹高:ツル性
開花期:
花色:
その他:


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ノコギリシダ(鋸羊歯) [シダ類]

 根茎は細く、直径約3㎜、長く、地中を這い、やや群生です。葉柄は長さ 25~30㎝、直径約3㎜、基部には暗褐色、披針形の鱗片がまばらにつきます。葉身は黄緑色、やや光沢がある革質、長さ30~35㎝、幅8~14㎝の広披針形の単羽状葉です。葉脈がくぼみ、葉脈が明瞭。羽片は12~18対つき、頂羽片はなく、浅い鋸歯縁、先にいくほど小さくなります。下部の羽片は鎌状狭披針形です。羽片の基部前部に耳垂がつく。胞子嚢群(ソーラス)は長さ2.5~7㎜の線形、中肋寄りにつき、耳垂には付きません。
ヘラシダ属としている場合もあります。
和名は、側羽片の形と辺縁の鋭鋸歯を鋸に見たてたことからとのことです。

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撮影:2018年11月16日 京都府立植物園にて

名称:ノコギリシダ(鋸羊歯)
科:イワデンダ科 ノコギリシダ属
園芸分類:
形態:常緑シダ植物
原産地(分布):本州(房総半島以西)、四国、九州、朝鮮、中国、台湾、東アジアに広く分布
品種名:
草丈/樹高:60~80cm
開花期:
花色:
その他:


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